兄やん公式ブログ 2

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広島に着いた時には、辺りは既にもう暗くなっていた。

相変わらず、どこに行くっていうアテもなかったが、とりあえず市民球場を目指した。市民球場に行くまでに、相当疲れていたせいもあって、ハローワークの前にとめてあったカギのついていない自転車を一台拝借した。

おそらく、放置自転車であろうと思われるくらいのボロい自転車に乗りながら、市民球場まで着いたのは良かったが、特に何をするでもなく、しばらく平和公園を眺めてボーっとしていた。そうしてしばらく眺めていると、ホテルを出てから一度も風呂に入ってなかったのに気づき、無性に気持ち悪くなってきたので、風呂を探そうと自転車をこぎ始めた。

とはいっても土地勘もなければ、住宅街でもなかったので、なかなか見つからなかった。それと、着ていた服も洗濯したかったので、風呂を探すついでにコインランドリーも探した。そして、広島駅の拓けている方とは逆の方をさまよっていると、コインランドリーを発見した。

とりあえず、コインランドリーに入り、入れられるものだけ中に入れて、終わるまで風呂を探しがてら、辺りをうろついていた。ポケットに忌々しい思い出のあるライターが入っていたのと、タバコの自販機が目に入ったので、ヒマつぶしにはなるだろうと思い、タバコを買ってみた。

そして、コインランドリーの前に座り込み、はじめてタバコを口にした。ただ、タバコに慣れていなかったため、時折煙を吸ってむせかえったりしていた・・・。

「ふ~ん、タバコってこんなもんか。これならやっぱ酒の方がいいや。」

と、タバコを吸ってはみたが、興味もひかれなかった。洗濯が終わるのにまだ時間があったのと、心に余裕が出てきたこともあって、気がつくと、なんばで渡された連絡先の書いた紙を持ちながら、公衆電話の前にいた。

あの2人の話によると、高校から一緒に調理学校に通っていたテルが、仕事が終わった後に奔走してくれていたらしく、奈良から大阪に戻り、兄やんの親や地元の友達と連携して兄やんを捜索してくれていたらしい。

逃亡してスグは「そんなことどうでもいい!」と思っていたが、テルも兄やんとはまた環境が違うものの、それに近い厳しい労働環境の中に身を置いている、ということを知っていたので、申し訳なさから、テルに「もう捜すな」と伝えるために電話をかけた。

結果的に2人との約束を守ることになった兄やんだったが、電話をして少し話したものの、やはり帰る気にはなれなかった。そうしているうちに、洗濯が終わり、乾燥も終わった。若干生乾きっぽかったが、

「また昼間にでもどっかで干せばいいか」

と思い、そのままカバンの中に入れた。

そして、風呂を探し始めた。コインランドリーのあった方は、何もなさそうだったので、駅前の栄えている方へと戻った。今まで何日もずっと歩き続けてきただけに、自転車で走るのはかなりラクだった。

そして、どんどん自転車をこぎ進んでいったが、一向に風呂屋が見つからず、大きい川の堤防までやってきてしまった。さすがに、自転車とはいっても2時間以上こいでいると疲れてきたので、その堤防で一服していた。

休憩を終えて堤防を下り始めると、なんだか腹が減ってきたので、風呂はとりあえずあきらめて、何か食べようと思い、食いモン屋を探し始めた。この堤防に来る途中にラーメン屋があったので、そこに行こうとすると、くるときは開いていたのに、休憩している間に営業時間が終わり、閉まっていた。

時計は持っていなかったが、どうやら人通りからしても、結構遅い時間になっていたようだった。仕方なしに、拝借した自転車のあった付近を探していると某牛丼チェーンがあった。

「牛丼は昼食ったし、さすがに連チャンはいらんわ~」

と思ったので、さらに奥に進んでいったが、ファミレスくらいしかなかった。そして、さらに引き返し、 「もう、コンビニでえっか」 と思って自転車を拝借したところの近くまで来た。すると、そこには立体駐車場があり、ちょうど寝れそうなベンチがあったので、

「今日はここで寝よう」

と思い、そこに自転車を置いた。
すると、前方から何やら大きな音がするので、

「何かな~?」

と思って近づくと、50人以上はいたと思われる、暴走族の大群が道路を占拠していた。

「なんや、こいつらがうるさかったんか~」

と思い、引き返そうと思ったが、

「暴走族を見たから引き返したたとなると、なんかこいつらにビビったみたいで嫌やなー」

と思い(実際結構ビビっていたが)、普通にそしらぬ顔でそのまま暴走族のいる道路を通過しようとした。

そして、通過する直前にチラっと暴走族の姿を見ると、マンガで見るような特攻服や、マスク、バイクに旗などを持っていたので、

「おいおい、いつの時代のことを未だにやってんねん」

と思い、思わず笑けてしまった。

すると、それに気づいたのか2人乗りの1台がこっちの方に近づいてきた。この時、既に心臓がバクバクしていたので、緊張の度合いは最高潮に達していた。そのまま立ち去ろうとしたが、兄やんに「つく」ような感じで並走してきたので、内心泣きそうになった。

「うわ~、どうしょ~」と思っていると、奥の方からパトカーが数台出てきて、暴走族の集団を追いかけ始めた。兄やんお近くにいた暴走族の奴らも同じように逃げ始め、兄やんはほっとしたのも束の間、一応自分も逃げている身なので、

「そのパトカーのポリに職務質問でもされたらこっちもヤバイ」

と思い、そのまま暗いビルの方へと逃げ去っていった・・・。パトカーと暴走族のやかましい爆音が小さくなっていくのと共に、兄やんの心臓の鼓動も小さくなっていった・・・。

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